各種契約書作成
企業活動においては、事業展開に伴い多くの契約が発生します。ビジネスにおける契約書の重要性はあらためて言うまでもないところです。しかし、我が国における取引現場では、「相互の信頼関係からすればトラブルなど発生しない」と信じ、契約書を作成せずに取引に臨むといったことが頻繁に生じています。
また、契約書を作成する際も、取引先を信用しているから、取引先に嫌な思いをさせたくないからという思いから、一般に普及しているテンプレートをそのまま使用し、その契約特有の紛争リスクに対応した契約書を作成していないケースも多くあるところです。契約書が取引を始めるための形式的、儀式的なツールとしてしか使われておらず、紛争に備えたリスクヘッジとはなっていないのです。
確かに、大半の取引は何ら問題を生じることなく履行されるでしょう。また、取引相手との信頼関係がある間は、取引におけるトラブルは協議によって回避できるでしょう。しかしながら、ひとたび問題が発生し、相手方との信頼関係が破壊されれば、協議によってトラブルを回避することはできなくなり、紛争に発展します。そのとき、契約書に適切な条項がなかったがために、非常に不利な立場に立たされることは往々にしてあります。その取引が重要であればあるほど、一度のトラブルが、企業の利益を帳消しにするほどの損害に発展したり、場合によっては、企業の存続自体を揺るがすほどの問題となりかねません。
このような事態を避けるため、会社が締結する契約からどのようなトラブルが生じ得るかを予め予測した上、法律的な観点を踏まえて契約書の内容を作成し、またはレビューを経たうえで、契約を締結することは、企業活動の安定性や利益の最大化の観点から極めて重要です。
法律的な観点を踏まえた適切な契約を締結することは、紛争が生じた際に有益なだけではなく、事前に紛争を予防するという効果をもたらします。すなわち、適切な契約を締結するには、契約書作成の過程において、各条項を詳細に検討することになります。この過程は、ビジネススキーム自体の正確な理解を基に、当該契約ないしそのビジネススキームから生じ得るリスクの所在を分析することに直結し、その結果、当該検討を通じて、会社はリスク回避のために採るべき行動を事前に検討できるのです。
また、会社が詳細な検討を踏まえた契約書を相手方に提示し、相手方に対しても契約書を検討してもらうという過程を経ることで、契約内容から生ずる権利義務関係について、契約当事者間で理解が深まることになります。これにより、双方が自身の義務の内容を正確に理解し、適切な履行を促すことができ、紛争を未然に防止できるという効果も期待できます。法律的な観点を踏まえた適切な契約書を作成またはレビューすることは、事前に紛争を予防するという予防法務効果が期待できるのです。
弊所は多種多様な業界の顧問企業を多く抱え、各弁護士がそれぞれ担当する業界のビジネススキーム及び関連法規に精通しています。契約書の作成又はレビューを弊所に御依頼いただいた場合、その業界に精通している弁護士が、当該契約書の内容をビジネススキームとともに検討致します。
主な検討過程は次の通りです。すなわち、まず、契約の要素となる事項が確定しているか、契約の内容が一義的に明らかとなっているか、といった契約の基礎の部分を確認します。そのうえで、その業界及びビジネススキーム特有のトラブルに対し適切に対応できる条項があるか、契約上生じ得るリスクをコントロールできているか、取引の円滑な履行を阻害するような条項はないか、関連法規(不正競争防止法、独占禁止法、金融商品取引法、資金決済法、個人情報保護法、特定商取引法、消費者契約法、労働者派遣法、下請法、及び宅地建物取引業法等)に抵触していないかといった観点から契約条項を一つ一つ詳細に検討します。
また、契約書の作成は、一度作成したことによって完成するとは限りません。法令の改正の影響を受けるビジネススキームもあれば、想定外の事態が生じたことへの対処を加える必要もあります。作成後の取引における経験をさらに契約書へ反映させていくことで契約書の内容がブラッシュアップされていくことになります。
紛争を有利に解決するため、紛争を事前に予防するため、取引をより円滑に進め利益の最大化を図るため、是非一度プロにご相談いただければと思います。各分野に精通した弁護士が、各分野のビジネススキーム、取引慣行、関連法令に則った適切なアドバイスを、法的な観点だけでなく、経済的・経営的な観点からも踏まえた上で提供いたします。